『Have a Nice Death』レビュー: 死神の休暇申請
『Have a Nice Death』とは、Magic Design Studiosが開発したローグライクアクションゲーム。
これまでにアクションゲーム『Unruly Heroes アンルーリー ヒーローズ』を開発しているデベロッパーだ。
2D横スクロールでプレイする。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はPC版をゲームパッド使用してプレイ。
本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
多忙な死神は起業した
いつからかは分からないけれど、人が死ぬ時には死神が現れる。
大きな鎌で人間の命を刈り取る。
でも、死神は悪の親玉ってわけじゃない。世界の決まりだ。人は必ず死ぬのだから。死神が管理しなければならない。
しかし、人間の数はどんどん増える。超人的な力を持つ死神でも、1人で命を刈って回るのは大変だ。
そこで、死神はひらめいた。今こそ起業の時!
部下を生み出し、死を司るDeath Inc.を創業した。
みんなで分業すれば、仕事は楽になるはずだ。きっと。
過労に苛まれるボス
さーて、死神のやることは部下が集めた死者の書類に承認ハンコを押すだけ。
ペタン、ペタン、ペタン…
ペタペタペタペタ…
ポンポンポンポンポポポポポ…
ドドドドドドドド…
ちょっと待て待て!どんだけのスピードでハンコ押させるんだ!
書類が途切れないんだが!というか書類の量が尋常じゃなく増えていってるんだが!
過労のせいか、死神の身長も縮んでしまったんだが!
社員教育
この書類の異常な量には訳がある。どうやら部下たちが暴走して過剰に命を刈り取りまくっているらしい。
そして遂にブチ切れた過労CEOこと死神。
このままじゃ、死神なのに過労死してしまう。長年憧れているバケーションだって幻に終わってしまう。
部下の奴らめ、勝手なことしやがって!暴走している社員は片っ端から再教育だ!
こうして、ボスによる社内大乱闘が始まる。
ゲームの特徴Features
CEOオフィスから各部署へ
主人公は死神であるCEO。自分のオフィスからエレベーターに乗ってDeath Inc.の各部署へ赴く。
着いた先のフロアで敵(暴走している雑魚な部下たち)を倒しながら進み、別のエレベーターを目指す。
別のエレベーターが見つかったら乗り込み、次に進むフロアを選択(フロアによって得られる報酬が変わる)する。
こうして一定数のフロアを越えるとソローズと呼ばれる大物部下のオフィスに行きつき、ボス戦が始まる。
ボスを攻略したら、次に赴く部署を選択して、またエレベーターに乗って行く。
こうして全部下の性根を叩き直していくのが大きな流れ。
死神の戦い
主人公の基本武器は、鎌。死神らしくて、まさにぴったりの愛用武器だ。
鎌にはいくつかの種類があり、鎖鎌や双鎌など挙動の異なる鎌も登場する。
また、死神のマントが変形して形作られる強力な武器や、遠距離攻撃や状態異常を付与する呪文も使うことが出来る。
マント武器には発動後のクールタイムが、呪文発動にはマナ消費が必須(マナは時間経過で自動回復する)なので、使うタイミングの見極めが大切。
また、敵に攻撃を当てていると紫色のゲージが溜まっていき、溜まりきると装備しているいずれかの武器の必殺技である狂乱攻撃を繰り出すことができる。
死神の呪いと成長
敵を倒した際や道中で、ソウルリーを手に入れることがある。これは通貨だ。
道中のショップで買い物したり武器強化に使える。
また、人事部長であるMr. オーシャに遭遇することがあり、3択から呪いを選ぶことが出来る。
死神にとって呪いは強さだ。最大HPが上がったり、攻撃に追加効果を付与したりできる。
本作はローグライクなので、ゲームオーバーになれば手に入れた武器もソウルリーも呪いも全て失う。
しかし、敵を何体倒したかなどの業務成績によって、経験値がもらえる。また金貨は失わない。
この経験値によって、ショートカットなど便利な機能がアンロックされていく。
金貨は新たな武器やアイテムのアンロックに使用できる。
経験値と金貨によるアンロックは、永続効果であり引き継がれる。
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各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.0
主人公は、ひたすら部下のいる部署へ向かい続ける。
大量の仕事から逃れるはずが、結局のところ部下を懲らしめるという、また別のハードワークに勤しんでいるわけだ。
というわけでバトルを繰り返すのがメインだけど、物語も楽しめる。
拠点のオフィスや道中の休憩室などでNPC(敵意のない社員たち)との会話がたくさん用意されている。
脈絡がない話をしているようで実はちゃんとNPCのセリフは話がつながっている。
ブラックジョークな笑いたっぷりで、会話が楽しい。
世界設定や各キャラの事情をメニュー画面から読むことも出来て、いちいち細かく面白い。
キャラクターの魅力
4.5
本作はNPCたちがかなり魅力的。
上司が死神なんてめちゃくちゃ怖そうな会社に思えるけれど、部下は1人たりとも死神を敬ってくれない。
唯一、可愛いカボチャのインターンが死神に憧れてくれてるけれど、ど天然すぎて、あんまり会話が成立していない。
あとは、陰湿なイタズラを繰り返す受付担当や、もはや筋肉丸見えな(皮膚がない)脳筋な部下、不平不満を言い続ける部下(労働組合代表)、なぜか社内でマフィアなファミリーを作ってる奴らなど、本当に多種多様にふざけまくっている。
たまに日本語訳が妙で変な口調になっていることもあるけれど、とにかく笑いたっぷりだ。
そして、ボスとして立ちはだかる部下たちは、死神に暴言を吐きまくる。
死神の会社って、意外と上下関係は厳しくないみたいだ。まあ、だからこそ死神が過労になってしまったんだろうけど。
操作性
4.5
マントを被っているとは思えないほど、死神の挙動はキビキビサクサク。
かなりハイスピードに動ける。
武器による挙動の違いもしっかり感じるし、当たり判定も精度が高い。
大量の敵を相手にする時も多いけれど、射程内なら複数の敵を巻き込んで攻撃できるし、プレイしていて純粋に気持ち良い。
UIも操作方法も分かりやすい。
1つ気になったのが、英文字は太字なのに、日本語がかなり細いフォントになっているので、テキストがやや読みにくい。これは日本語版だけの問題だろう。
難易度バランス
4.0
道中の雑魚敵にはあまり苦戦しないし全敵倒さなくてもいい。
しかし、所々で前後の扉が閉まり、一気に複数現れる雑魚敵を全て倒さないと進めない場所がある。
また、中ボスと大ボスには攻撃パターンが豊富に用意されていて、なかなか苦戦する。歯ごたえはしっかりある。
でも、低難易度モードもあるし、引き継ぎ要素もあるので、難易度バランスとしてはちょうどいい感じ。
ゲームをクリアすると、より高難易度になるモードがアンロックされる。
また、本作での体力ゲージは白色。で、攻撃を受けると、体力ゲージの上限が少し削れ、体力ゲージの一部が灰色になる。その灰色部分はケガだ。
アニマという回復アイテムがあるけれど、これで回復できるのは灰色(ケガ)部分だけ。
黄金のアニマや特定のアイテムを使わないとHP上限を回復することは出来ない。
回復手段があって長生きしやすいものの、徐々にキツくなっていくという、このシステムもちょうどいい難易度バランスにしてくれている。
ゲームシステム
4.0
基本はオーソドックスな2D横スクロールアクションなローグライクゲーム。
本作ならではの死神らしい武器や呪文が登場するけれど、特に目新しいシステムがあるわけではない。
ただし、全ての要素がしっかり作り込まれている。
更に笑える物語や死神の会社という独特な設定、そして軽快で高精度なアクションによって、一気に惹き込まれる。
呪いにはリスク付きのものもあったり、武器や呪文も似たり寄ったりにならずバラエティに富んでいる。そしてゲームオーバーになって帰ってきてもNPCのセリフは変わっていく。
飽きにくいし、プレイしていて「楽しい!楽しい!」となる気持ち良いゲームだ。
やりこみ要素
4.0
様々な武器や呪文をアンロックし、NPCと会話を繰り返して彼らの情報もアンロックしていく。これがやり込み要素。
もちろん、様々な武器をアンロックするのもやり込み要素だ。
また、拠点にいる芸術家肌なミュリエルに金貨を渡すと、CEOオフィスや休憩室の装飾やBGMを変えることができる。
これによってNPCのセリフが変わったり、ちょっとしたサブストーリーも展開する。
グラフィック
4.0
手描きイラスト調の細かく描き込まれたクオリティ高いグラフィック。
キャラたちは、よく見ると不気味だけど全員可愛い。ボス含めカートゥーンのようだ。
舞台は死神の会社ということで、穏やかな風景は一切なく禍々しい部署ばかり。
でも、よく見ると、仕事をしている社員の姿や、その部門を表す物が置かれていて、眺めながら進むのも楽しい。
サウンド
4.0
死神に合った陰気で不気味な音楽。だけど、にぎやかだ。
ノリが軽いお化け屋敷みたいな印象。コミカルな感じが醸し出されていて、ブラックジョーク満載の本作にぴったり。
また、攻撃の効果音が耳触り良くて(エフェクトもかなり派手)気持ち良いアクションが更に心地いいものになっている。
サントラはこちら
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
気持ち良い挙動
物語やセリフが笑える
武器や呪文が多種多様
残念なところ
説明文が分かりにくい
日本語フォントが細い
オススメな人
ローグライクアクションゲームが好き
ハイペースなバトルが好き
ブラックジョークが好き
オススメではない人
世界を救う系の物語を求めている
探索要素も欲しい
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Dead Cells
軽快なアクションで2D横スクロールなローグライクといえば、こちらもおすすめ。歯ごたえもあり、ハクスラとメトロイドヴァニア要素も楽しめる人気作。かなり大量の武器が登場し、追加DLCも豊富。
Hades
死後の世界が舞台のローグライクなら、こちらもおすすめ。主人公はハデスの息子。こちらは見下ろし視点でプレイするけれど、気持ち良いアクションや物語要素も楽しめる。拠点の装飾も可能でやり込み要素もたっぷりの高評価作。
Have a Nice Death
死神の休暇申請
死神が主人公であり、その会社の部下相手に戦うという世界設定や笑える物語が魅力のローグライクアクションゲーム。 気持ち良く軽快なアクションで、様々な武器や呪文の違いもしっかり味わえる。 魅力的なNPCややり込み要素など世界に惹き込まれる要素がたっぷり用意されている。
Have a Nice Death
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