『Haven』とは

The Game Bakersが製作したアクションアドベンチャー。
The Game Bakersは、アクションゲームの『Furi』を製作したデベロッパーだ。本作は、ハイスピードなボスバトル続きの『Furi』とは違ったゲームとなっている(ゲーム冒頭にも「本作は難しくないゲームですよー」と表示される)。
PS5、Xbox、PCでプレイ可能。私はXbox版をプレイ。
あらすじ
ソースと呼ばれる謎の惑星で仲良く暮らすユウとケイ。2人は恋人同士だ。
幸せいっぱい。2人でキャッキャ、ウフフ。
と、2人だけの世界に浸っているわけにはいかない。
実は、2人はエイピアリーという別の惑星から逃げてきた絶賛駆け落ち中のカップルだ。2人を連れ戻そうとする追っ手までいるという訳ありっぷり。

そして、2人が逃げ込んできた惑星ソースは、謎だらけ。たまに地震が起きては惑星自体が分裂して細切れになっていくという、住みたくない惑星ランキング1位を獲れるんじゃないかっていうレベルの危険さ。

更に、2人の逃亡手段であり生活拠点でもある宇宙船ネストは、運悪く惑星分裂に巻き込まれて壊れてしまう。

しかし、恋する2人に向かうところ敵なし。
惑星ソースには人類はいないはずなのに、彼らの出身地であるエイピアリー由来の建物が廃墟となって点在している。なぜなのかは気になりまくるけど、とりあえず役立つ機械や部品が手に入る。

そして、禍々しい赤紫色の錆が惑星を覆っている。禍々しすぎて不安になるけれど、どうやらこの錆は有効活用が出来そうだ。

こんな上手くいきすぎな話ある?いや、どうやら、この惑星には何か秘密がある。
2人はとんでもない強運と宇宙サバイバル能力を発揮して道を切り拓き、惑星ソースの謎に迫っていくことになる。

そして、「2人は幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし」となれるのか?
ゲームの特徴
お手てつないで行きましょう
惑星の探索。本作では、これがメインだ。
ゲーム内では、ユウもケイも2人ともを操作できる。探索中には、どちらを操作するかはボタン1つで切り替え可能。操作していない方のキャラは後ろを付いてきてくれる。

自然と手をつなぐ
2人とも超高性能ブーツを履いていて、地表をスーッと滑るように少しだけ浮かんで高速移動「グライド」が出来る(歩くこともできるけど、めちゃくちゃ遅い)。
グライド中にはドリフトができて、浮かんだまま着地せずに方向転換が出来るし、Uターンも出来る。

惑星には、様々なものがある。
食材や回復薬になる植物や宇宙船のパーツになる部品など、探索しながら見つけて集めていく。
また、フィールドには、フローと呼ばれる青い光の線がある。フローとは、機械を動かすエネルギーにもなる不思議な物体だ。

青い線の端から端までをなぞるように飛ぶとフローを吸収することが出来る。

高い場所に行けたり谷間を越えることも出来る
そして、赤紫の禍々しい錆。2人が上を飛ぶと消えて浄化されていく。
錆の中にはピンク色の錆の塊があって、エリア内の全ての塊を収穫すると禍々しい錆は全て消える。掃除機のように全て吸い取らなくてもいいわけだ。

この錆は、上述のフローと反応して浄化されるという仕組みらしい。というわけで、赤い錆の上をグライドしているとフローが消費されていくので、定期的なフロー補給が必要だ。

コントローラー分断
探索していると赤紫のサビに憑かれた生物たちがユウとケイを襲ってくる。バトルだ。
バトルでは、二人を同時に操作する。コントローラーの左半分(十字キー)がケイ、右半分(XboxだとABXYボタン)がユウの操作に当てられる。

そのまま押すボタンの位置になっている
画面上に表示されているコマンドに対応するボタンを長押しして、コマンド表示がビリビリっとしたエフェクトになったらボタンから手を離す。そうすることで、アクションを行う。
行動順とかはないので、ボタンを押して、どんどん行動することができる。もちろん敵もどんどん攻撃してくる。

2人で強力な攻撃を放つ
敵の体力を削り切ると、敵はひっくり返る。そうしたら、「鎮静化」コマンドを発動して、敵を撃退する。本作は愛にあふれたゲームなので、敵は死ぬわけではなく、正気に戻って去っていくだけだ。

ちなみに、「鎮静化」せずに一定時間経つと、敵は復活してしまう。
カップルの日常生活
拠点あるネストでは、様々なことができる。
集めた資源から料理や回復薬を作ったり、バトルで使えるアイテムを作成したり、体力回復したり睡眠をとることができる。

そうした行動の合間には2人の会話が発生する。会話の中には、選択肢も登場する。そうした会話を経ると経験値を手に入れることができる。

経験値は、バトルや食事をとることでも手に入るけれど、2人の会話での経験値の方が圧倒的に高い。絆が強くなるほど、愛が深まるほど強くなる。愛の力だ。

ステータス等がアップグレードする
評価
物語冒頭から既に惑星ソースでサバイバル生活している。で、ユウとケイの会話を通して少しずつ2人がなぜ逃げているのか、この世界はどんなところなのかが分かってくる。
プレイしていて、「カップルのイチャイチャだとか馴れ初めなんて興味ないんだよー!」とならないのが、不思議。
2人のキャラが良くて、カップルの描き方がくどくない。ドラマティックやロマンチックばかりではないカップルの現実がちゃんと描かれている。

ユウとケイは性格が全く違う。ユウはセレブ育ちで思い切りが良いけれど臆病。ケイは庶民派で論理的だけど楽観的。どちらも魅力的で、どちらかに感情移入が出来る。
なので、「一体、何を見せられてるんだ」という気分にならない。もちろん、時々は「はいはい、他所でやってくださーい」っていうホットな場面もあるし、カップルならではの(他人から見ればくだらない)可愛らしい口喧嘩もある。

そして、カップルに感情移入出来なかった場合でも、惑星ソースの謎は気になる。探索すればするほど物語の先が気になって仕方なくなる。
カップルの現実的な日常とSFのどちらも楽しい。ストーリーのテンポも良い。
地表を滑るように移動する。これが、気持ち良い!クセになる。
バトルは直感的にボタンを押していくだけだけど、1つのコントローラーで2人分の操作なので、結構忙しい。敵よって有効な攻撃方法が違うし、タイミングもよく見極めなくてはいけないので、慣れてくるとバトルもクセになる面白さ。

探索もバトルも最初は「スムーズに操作するのって大変」と感じるけど、すぐに慣れる。そうしたら、もう気持ち良くて病みつきに。
本作はデベロッパーが「過去作『Furi』と違って穏やかなゲームだよー」なんて言ってるけど、いやいや、しっかりアクションが楽しい。挙動も滑らかで良い。

ただ、上下に高速移動したり崖から飛び降りたりするとカメラが追従しきれていない時がある。また、資源採取などインタラクトできる場所でコマンドは出てるのに特定の位置に立たない限りコマンドが効かないことが多いのところも気になる。

恋人やら愛やらがテーマだけど、いやらしくなく、しつこくもなく、恋愛ものはちょっと苦手っていう人でも楽しめるような良い雰囲気。
探索メインでちょこちょことバトル、選択肢を選ぶ会話、といった感じで、ゲームシステムとしては真新しさはないんだけど、それを「2人一緒に同時」というところが本作の魅力。

バトルでは2人のタイミングを合わせたりワザとずらしたり。フィールドに立ったまま地図見てたら、2人が勝手にチューし始めて、それで体力が回復したり。
2人の絆や愛が強さになるっていうのがゲームプレイのなかにも落とし込まれてて、なかなか他のゲームにはない感覚を味わえる。
ゲームプレイ部分はポリゴン調(やや荒めだけどミニマルデザイン)で、会話時には、2人が立ち絵として表示される。立ち絵部分やロード中の画面などはコミック調のグラフィックで魅力的。

そうしたゲームプレイ部分も芸術性高くて素敵なんだけど、オープニングムービーで既に心掴まれた。水彩画っぽいアニメーションで、ゲーム起動した瞬間に「あ、このゲーム、センス良いやつだ」てのが分かる。

サウンドもセンスの塊で、主張しすぎない「なんか雰囲気いいよねー」という曲調。ラウンジとかで流れていそうな心地良い音楽。
まとめ
- 良いところ
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- ストーリーテリングが上手い
- 現実的な恋人同士の描き方
- 気持ち良い操作感
- 芸術性が高い
- 残念なところ
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- インタラクトやカメラにラグがある
総合評価
4.0
- オススメな人
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- 愛を感じたい、幸せな気持ちになりたい
- 気持ち良い操作感が大好物
- ストーリーを楽しみたい
- 他人のカップル事情を知りたい
- オススメではない人
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- セリフを読むのが面倒くさい
- 他人がイチャついているのは一瞬たりとも見たくない
- 視覚的にド派手な演出が欲しい