レビュー【Ritual of Raven】魔法とは、プログラミング | ゴーレムを操る農業ライフシムゲーム

頭を使ってゴーレムを操り魔法世界を救う可愛く穏やかなライフシムゲーム『Ritual of Raven』のネタバレなしレビューも攻略情報も詳しく掲載。
似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
- ストーリー
- 異世界に迷い込んだ主人公が魔法を習得しながら世界の問題解決に奔走する物語
- 攻略
- ゴーレムを操りハーブを育てながらクエストを攻略するアドベンチャー+ライフシムゲーム
- 評価
- プログラミングのようにゴーレムに指示を出すのが考え甲斐もあり面白く、キャラの内面を描く物語にも惹き込まれる
Ritual of Ravenの概要
タイトル | Ritual of Raven |
---|---|
開発元 | Spellgarden Games |
販売元 | Team17 |
発売日 | 2025年8月7日 |
対応機種 | Switch, PC |
ジャンル | ライフシム, シミュレーション, アドベンチャー |
シリーズ | 新規IP |
プレイ機種 | PC(ゲームパッド使用) |
本作開発元は、これまでにカジュアルなシミュレーションゲーム高評価作『Sticky Business』を手がけている。
Ritual of Ravenのストーリー
魔法世界に転がり込んできた主人公

本作の舞台はレイニアという魔法溢れる不思議な世界。
ゲーム開始とともにレイニアで暮らすセージという名の魔女の家に次元の裂け目(ポータル)が開き、何かが転がり落ちてきた。
これが、本作の主人公だ。外見や名前はプレイヤーが自由にカスタマイズできる。
とんでもない所から登場した主人公だったけれど、話はトントンと進み、主人公はセージの見習いとしてリクルートされる。
こうしてゲーム開始数分足らずで主人公は魔女のお弟子さんとなった。
これは子供の頃から魔法に憧れていた主人公が「魔法使いになりたい」と強く願って叶った夢の大事件というわけではない。
実は、レイニアにある異なる世界同士を繋ぐポータルが故障してしまい、気まぐれにポータルが開いては他の世界の人がレイニアに転がり込んでくる事件が多発してしまっているのだ。
そう、主人公はうっかり魔法の世界に迷い込んだのだ。
早々な独り立ち

特に理由なく転がってきたと思われる主人公を、なぜセージは初対面にも関わらずリクルートしたのか。
実は彼女の使い魔(魔法使いにとって欠かせない存在らしい)がポータルに吸い込まれ行方不明になっており、ポータル修理に手助けが必要だというのだ。
どうやら人手不足らしい。
このままでは主人公も元の世界に帰れないわけで、加えて憧れの魔法を使えるようになるなら一石二鳥だ。
手始めにゴーレムを動かす魔法を学び、いよいよ本格的にお弟子さん生活が始まり…、いや、始まらなかった。
魔法修行が始まると思った直後に突然ポータルが再び開き、セージは「この先に私の使い魔がいるかもしれない!」と飛び込んで行ってしまった。
え、新人研修中に上司(というか社長?)がいなくなったんですけど。
残されたのは、主人公の使い魔として呼び出された生意気なカラスだけ。
研修はなし。すぐに実務だ。
ゴーレムを動かせるのみの主人公は、とりあえず帰り道の情報を得るため近くの村へと向かって行った。
Ritual of Ravenの攻略情報
クエスト攻略ライフシム

本作はライフシムゲームであり、拠点である魔女の小屋から各地を探索し、そこで出会うNPCから依頼されるクエストを攻略することでゲームを進行していく。
メインストーリーの進行とともに探索できる場所が増え、道中では植物を採取したり、謎解きもあちこちに用意されている。
クエスト攻略やアイテムを換金することで本作の通貨である光るカケラを手に入れることができ、日中には各NPCが開いているお店を利用できる。
ゲーム内では常に時間が流れており、深夜2:00で1日が終わる。
本作では、満月や新月など月齢によって世界や植物に変化が現れる。
とはいっても満月を待つ必要などはなく、月の祭壇で翌日以降の月齢を自由に変えることができる。
エンチャントゴーレムでハーブ栽培

本作ではクエスト攻略に様々な植物が必要になり、特にハーブは拠点の庭で育てることになる。
しかし、主人公自身が土を耕したり水やりするわけではなく、アルカナゴーレムという魔法生物に指示を出して農作業をする。
アルカナゴーレムへの指示は、「何マス動く」や「耕す」といったカードを組み合わせて指示を出す。
どこで何するかというカードの組み合わせが本作では魔法と呼ばれる。
ゲーム進行とともに使役できるアルカナゴーレムの数は増え、ゴーレムごとに異なる魔法(カードの組み合わせ)を指定できる。
カードの種類はクエスト攻略やお店で買うことで増えていく。
様々なカードを手に入れれば、指定した行動パターンを繰り返したり、特定の条件が揃っていたら指示された作業を行うといった複雑な指示もできるようになる。
さらにカードとは別にゴーレムに印を装備させると、指示した魔法を毎朝行うなど発動タイミングの指定もできるようになる。
信頼とやり込み

本作にはサイドクエストややり込み要素も用意されている。
各NPCには主人公に対する信頼度があり、特定のアイテムを渡すことでそのNPCにちなんだイベントが発生して信頼度が上がっていく。
メインストーリーにはない物語を楽しめるだけでなく、報酬も貰える。
また、ポータルフィッシングというUFOキャッチャーでランダムなアイテムを手に入れて博物館に寄贈していくといったやり込み要素もある。
そして、拠点は自由に装飾することができ、家具や植物などで自分好みのハーブ園を作り込むこともできる。
KeepGamingOnおすすめ新作ゲーム
記事はさらに下に続きます
Ritual of Ravenのレビュー
物語: 個性豊かなNPCは意外と複雑

本作に登場するNPCは全員個性的。
見た目から可愛いゲームであり、実際にプレイしていても可愛く笑える場面が多い。
しかし、各キャラの事情や抱えている悩みは複雑だ。
現実社会にも通ずる厳しく現実的でありつつ精神的な問題も描かれている。
本作をパッと見て持つ「魔法いっぱいでメルヘン、あはは、うふふ」という印象は、良い意味で裏切られる。
物語や会話をしっかり楽しめて、胸にブスッと刺さるセリフに何回も貫かれた。
ただ、日本語翻訳のせいか妙な言い回しや話者表記が間違っている部分もある。
物語を理解するのに支障があるほどではないけれど、物語も本作の大きな魅力なので今後アプデでの修正に期待したいところ。
操作性: ゲームパッドでも問題なし、自分で学ぶ部分もあり

プレイしていて操作しにくく感じることはなく、ショートカット操作もあり各要素にアクセスしやすい。
本作の世界の地面はグリッド(マス目状)が1単位となっており、主人公もグリッドに沿って移動するため滑らかな挙動とはいかない。
しかし、アクション性が高かったり時間に急かされるゲームでもないため困ることはなく、操作性は概ね良好だ。
本作で一番細かな操作をする場面は、カードを並び替える時だ。
順番を変えたり、動きを制御するカードの下に置いたりなど、カードをあっちこっちに動かすことになる。
マウス操作の方がカードの入れ替えは直感的にできるけれど、ゲームパッドでプレイしても問題なくプレイできる。
カードのコピーや指示方向の変更などがゲームパッドの各ボタンに割り振られているので、スムーズに操作できる。
そして、実際にゴーレムがどう動くかプレビューを見ながらカード順序を考えて並べ替えられるのが便利。
ちなみにカメラ回転はできず、1グリッドに1つの家具しか配置できないので手の込んだ装飾まではできない。
難易度: プログラミングの考え方が有効

NPCが事細かに指示はしてくれないけれど何をするべきかは全てクエストリストに書き出されるため迷うことはない。
ゲーム進行と共に徐々にクエストは面倒になり、各所にある謎解きも複雑になってくる。
しかし、難しくて詰まるということはない。
それよりも、どれだけスマートな魔法を組めるかを考えることが本作の面白さだ。
ゲーム内で主人公も言っているけれど、プログラミングの考え方が活用されている。
登場する多彩なカードを賢く組めば一発でほぼ自動化できる。
一方で、スマート魔法を考えつかなくても、地道にカードを一枚ずつ置いて攻略もできる。
こうしたスマートな魔法を作ろうとするとしっかり悩む。
より効率的な方法を生み出したい向上心があれば「もっと良い組み合わせと順序がありそうだ」と頭を捻ることになる。
ここが面白いところ。
特にプログラミングに馴染みがある人や考え方を知っている人なら、あれこれ考えつくはずだ。
一方で、「プログラミングとか言われると難しそう」と思う人も、本作は決して堅苦しくはなく、ちゃんと段階を踏んで応用編へ移っていくので身構える必要はない。
資源はたくさん手に入りお金も貯まりやすく、上手く魔法が組めなくてもペナルティがあるわけではない。
どうしてもスマートに組めないなら「手数で解決しろ!」で単純カードを並べまくって力技で攻略することもできる。
システム: 捻りのあるアドベンチャーライフシム

本作は農業シミュレーションやライフシムではあるけれど、「自由に生活を楽しもう」ではなく物語を進めるために農業を行う物語要素強めなアドベンチャーゲームでもある。
また、上述した通り、プログラミングのように農作業を自動化するのが本作の面白い魅力であり、そこでストラテジー要素も楽しめる。
よくある農業ゲームでは終わらない、捻りのあるライフシムだ。
プログラミングや自動化というと硬派になりがちだったり物語は薄めになりやすいけれど、本作では論理的なゲームプレイを柔らかく可愛い世界の分かりやすい設定に落とし込むことに成功している。
どらちも熟知しているからこそできる、頭のいいゲームだ。バランスの取り方も絶妙。
芸術性: めちゃくちゃ可愛いピクセルアート

本作は色彩豊かなピクセルアートで描かれる。
NPCの家やカードの絵柄など細部までひたすら可愛い。
NPCは種族も様々で、ゴーレムも一体ずつ見た目が異なり(名前も面白い)、育てたハーブや装飾品のデザインも可愛い。
ピクセルアートが好きなら、必ず見入ってしまうはずだ。
配色も魔法を感じる可愛さで、世界のまとまりが良い。
そして、BGMももちろん可愛い。のどかだ。
ゴーレムが働いている音が聞こえてくると「よしよし、順調に働いているな」と安心する。
とはいいつつも、実際には、ゴーレムが働いている姿を見ているのが楽しく、指示した通りに動いていると嬉しくなるので、結局隣で草むしりしながら(草むしりは主人公ができる唯一の農作業)見守ってしまう。
総合評価と似ているゲームは下へ
Ritual of Ravenの総合評価
Ritual of Raven

総合評価
プログラミングを活かした頭を使う農業が面白く、穏やかでありつつ感情面が描かれる個性的なキャラ達に惹き込まれる物語性の強いライフシムゲーム。細部まで可愛い高品質なピクセルアートも魅力。
長所と短所
良いところ | 個性豊かなキャラと感情面が描かれる物語に惹き込まれる 細部まで可愛いピクセルアート | プログラミングの考え方を活かした農業が面白い
---|---|
残念なところ | 翻訳や会話に妙な部分がある |
こんな人におすすめ!
おすすめな人
- 物語やキャラとの会話を楽しみたい
- 穏やかなゲームを探している
- 論理的思考やプログラミングが好き
おすすめではない人
- 自分で農作業やクラフトをしたい
- 頭を使うゲームをしたい気分ではない
- ライフシムにはNPCとの恋愛要素が欲しい
Ritual of Ravenに似ているおすすめゲーム

Bandle Tale
- こちらもポータルが故障してしまった可愛い世界
- テキパキとクラフトする時間管理要素も楽しめるシミュレーション要素のあるアドベンチャーゲーム

ファイナルファンタジーXII
- こちらもプログラミングの考え方が活かされており、条件と行動をあらかじめ設定してバトルを攻略するRPG
- 戦記もののように物語が展開し、FFシリーズの中でユニークなタイトル
