『Katana ZERO』レビュー: 画面ごと乱れる超高速サムライ
一撃必殺の豪快さと緻密な作戦立て、そして認識が歪んでいく物語に惹き込まれる『Katana ZERO』をネタバレなしで、攻略のコツと各要素の評価を交えてレビュー。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
Katana ZERO製品情報
タイトル | Katana ZERO |
---|---|
開発元 | Askiisoft |
対応機種 | Nintendo Switch, Xbox, PC, Netflix |
ジャンル | 2D横スクロールアクション |
本稿では、Nintendo Switch版をレビューしている。
Katana ZEROの攻略
ストーリー
謎のサムライ暗殺者
本作の主人公は、凄腕の暗殺者。組織から命令されたターゲットを暗殺していく。
それぐらいしか分からない。主人公自身のことも、偉そうに命令してくる組織についても全く分からない。
主人公は、毎回精神科のカウンセリングのようなものを受け、クスリ(明らかにヤバそうなやつ)を打ってもらいミッションに出かける。
このカウンセラー風の医者が暗殺の指示書を渡してくるので、医者も組織の一味なのだろうけれど、それ以上は分からない。とにかく全てが謎だ。
サムライの記憶
主人公の素性は分からないものの、主人公は任務を終えると帰宅して眠る。
そして、ほぼ毎晩悪夢を見る。暗殺稼業なんてしていたら、夢見が悪くても不思議ではない。
しかし、この「悪夢」のおかげで、主人公は自身の記憶を取り戻していく。
組織とは何なのか、主人公は一体誰のために何と戦っているのか。それも徐々に明らかになっていく。
サイバーパンクな世界
ちなみに、主人公がサムライとはいっても江戸時代の日本というわけではなく、本作の舞台はサイバーパンクな都市だ。
高層ビルやネオンがギラギラ輝くナイトクラブもあれば、主人公が自宅を構えているスラムのような場所もある。
そう、主人公1人だけがサムライ風の格好をしているのだ。着物がバスローブっぽく見えるので、敵には「バスローブ男」と噂されている。
暗殺者なのに逆に目立ってしまっていると思うけれど、なぜ彼は侍の格好をしているのだろうか。
攻略のポイント
サムライの戦い方
本作はステージクリアでゲームが進行する。各ステージに登場する全ての敵を倒すと次のステージに進むことが出来る。
主人公は、刀で近接攻撃し、敵は一太刀で死ぬ。かなり豪快な斬りっぷりで、敵は吹っ飛び、血しぶきが飛ぶ。
また、敵の攻撃の回避や、ステージ上に落ちている色々な物を拾って投げつけることも出来る。
敵の遠距離攻撃には刀攻撃だけだと間に合わないので、そこらへんにある包丁や銅像をブンブン投げつける。空き瓶だろうと包丁だろうと、投げつけたものが敵に当たれば、敵は一発で死ぬ。
空き瓶でも一撃必殺できるとは、さすがプロの暗殺者だ。
スローモーションで見切る
主人公は、ミッション前に打ってもらうクスリのおかげ(副作用?)で、一定時間全てをスローモーションで見ることができる。
敵が撃つ銃弾さえゆっくりになり、刀で銃弾を弾き返すことが出来る。弾き返した弾が敵に当たれば、もちろんその敵を倒せる。
ただし、これは「周りはスローモーションだけど、自分は普通通り動ける」という超能力というわけではなく、主人公自身の動きもゆっくりになる。
そして、スローモーション能力は無限に使えるわけではなく、画面左上に表示されるゲージを消費する。ゲージは時間と共に回復するので、使うタイミングを見極めるのが大事。
脳内無限ループ
上述した通り敵は一撃で倒せるけれど、主人公も一撃で死んでしまう。誰もが一撃必殺するゲームだ。主人公は凄腕の暗殺者だけど、敵のパンチ一発で死んでしまうほど打たれ弱い。
ゲームオーバーになると、ステージ最初に巻き戻る。文字通り「巻き戻し」の演出が起こる。
実は、ステージを攻略している際のゲームプレイは、全て主人公による脳内シミュレーションという設定になっている。
ステージ上で主人公が敵に倒されると「オオウゥ」という断末魔とともに「これでは上手くいかないな」と呟き、「スタート地点から考え直し」となり、ステージ最初からリスタートととなる。
ステージを無事にクリア出来ると、「よし、これなら上手くいく」と呟き、プレイした通りの再現VTRが「現実に起きたこと」としてモノクロ映像で流れる。
会話もハイスピード
主人公はプロの暗殺者なので無駄なお喋りはしない、と思うけれど、本作には会話シーンがたくさん登場する。
といっても、主人公がペラペラ喋るわけではなく、選択肢から返答を選ぶ。
ただし、選択肢を選ぶ時間には制限がある。時間切れになると、デフォルトの選択肢が自動的に選ばれてしまう。
更に選択可能時間の最初の数秒間だけ現れる赤い選択肢もある。赤い選択肢を選びたい場合は、相手のセリフに食い気味で素早くボタンを押さなければならない。
選択肢によって、その後のリアクションや演出が変化する(物語の分岐要素はない)。
Katana ZEROの評価と感想
物語の面白さ
本作はアクションがメインのゲームだけど、ストーリーもかなり魅力的。
主人公の謎、組織の謎、クスリ打ちまくって現実と幻覚の境目がぼやけてくるなど、ストーリーもかなり見応えがある。
裏社会の物語であり、ドラッグで「飛ぶ」演出もあり、残虐なシーンもある。モラル崩壊している展開も多いので、ピクセルアートグラフィックのおかげでデフォルメされてはいるものの、そうした演出が苦手な人は注意。
でも、暴力的な演出が大丈夫なら、意外な展開とどんでん返しに驚き、考察が捗るテンポのいい物語が楽しめる。
長編ではなく、二転三転する面白展開がぎゅっと詰まっている濃い体験ができる。
キャラクターの魅力
上述のような物語なので、主人公もNPCも敵もみんな完全にぶっ飛んでる。
一癖も二癖もあるやつばかりだけど、カッコ良さも感じる。悪のかっこよさ。全員魅力的だ。
主人公は孤高の暗殺者という感じで、もちろん1番カッコいい。
だけど、自宅に戻るとハーブティーを飲んで寝たり、記憶喪失でうろたえたり、弱さも垣間見える。
そのおかげでより一層感情移入しやすくなるし、プレイしていて大好きになった主人公だ。
操作の快適さ
操作性はめちゃくちゃ良い。
ズバァッズバズバッと素早すぎる刀アクションが、ハイスピードで繰り出せる。
スローモーションも回避もボタン1つで操作はシンプルで分かりやすい。
挙動も当たり判定も精度高く調整されていて、ノンストレス。エフェクトもカッコ良くて、全てが気持ち良い。
難易度バランス
主人公も一撃死するので、単にバシバシ斬っていても上手くはいかない。ちゃんと立ち回りを考えてから斬りかかっていかないとゲームオーバーになる。
何回も失敗することもあるし、やり直した時には敵が意外な動きをしてきて「え、さっきと違うじゃーん!」と予想通りには進まないこともある。
暗殺者たる者、臨機応変さが大事だ。
敵の数が多いので物を投げたり、身を隠すことも大事だし、パズルのように戦略を練る必要がある。
終盤になってくると一筋縄ではクリアできなくなる。アクションのテクニックだけではクリア出来なくなってくるので、試行錯誤が大事だ。
初見殺しも多いけど、やり直して更に上手い立ち回りを考えていくのが本作の醍醐味だ。とはいっても、詰まってしまうような難しさではないので、ステージ構成を覚えながらプレイすれば活路が見出せる。
ゲームシステムの面白さ
ハイペースなアクションだけど、好きな時にスローモーションにできる。この緩急交えながらステージを制覇していくのが面白くて病みつきになる。
上述もしたけれど、すべて気持ち良い操作感になっているので失敗しても全然苦にもならない。
スローモーション演出が最高にカッコイイくて、上手くクリア出来た時は爽快感と達成感と「自分上手いかも!?」という勘違いにも浸れるくらい鮮やかなアクションが楽しめる。
立ち回りを考える要素と一撃で死んでしまう緊張感、そしてアクションを素早く正確に行うテクニック。
頭も手も超多忙なのが心地良く、病みつきになる。
やりこみ要素の楽しさ
会話中に登場する選択肢によって変わるパターンを見るのがやり込み要素。収集要素や寄り道は特にない。
短時間しか出現しない会話の赤い選択肢はどれも暴力的で、「おいおい、やりすぎじゃない?」な演出を見ることが出来る。
今後、追加コンテンツが配信予定なので、そちらにも期待!
グラフィックの芸術性
全てピクセルアートグラフィックで描かれる。
さらに、斬った際には画面全体が揺れたり、グリッチエフェクトも効いていて、サイバーパンクな雰囲気が満点。全て果てしなくカッコイイ。
見た目のカッコ良さにも病みつきなってしまった。
ゲームスタート前に「視覚効果が多いよ、注意して」と警告が表示される通り、確かに激しめの視覚効果が多いので映像が乱れる演出が苦手な人は設定で「視覚効果オフ」にも出来るので安心だ。
サウンドの魅力
重低音響かせて聴きたいノリの良いBGMばかり。まさにサイバーパンク!
ちなみにBGMは、ミッション前に主人公が手持ちのカセットで好きなBGMを流して脳内シミュレーションしているという設定になっている。
また、銃弾を跳ね返す時のガキイィイインという音など、アクションと共に気持ち良い効果音が鳴り響く。これによってアクションの爽快感が増していて、耳も気持ち良い。
サントラはこちら
本作と似ているゲームや関連作は更に下へ
Katana ZEROレビューのまとめ
おすすめな人
- ハイペースなバトルが好き
- 作戦を考えるのが好き
- サイバーパンクな世界や物語が好き
おすすめではない人
- モラルを欠いた演出が苦手
- ハイペースなアクションが苦手
- 一撃死するゲームが苦手
総合評価良いところ&残念なところ
- スローモーション交えたかっこいいアクション
- 立ち回りを考えるパズル要素も楽しめる
- 二転三転するストーリー
- 寄り道ややり込み要素はほぼない
Katana ZEROが好きならおすすめのゲーム
似ているゲーム
My Friend Pedro
本作のようにパンクでインモラルな雰囲気と驚き展開のストーリーが楽しめる2Dアクションゲーム。
コンボが成功するとスローモーションにできる演出もあり、本作と同じくアドレナリン噴出系のゲーム。
Mr. Shifty
ダメージ受けると一撃死し、スローモーションも操れる。
本作とゲームシステムが近いハイペースなアクション。
こちらは見下ろし視点の2Dアクションで瞬間移動が出来るのが特徴。
Katana ZERO
https://www.katanazero.com
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