『DREDGE』とは、Black Salt Gamesが開発したアドベンチャーゲーム。
三人称視点でプレイする。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はPC版をプレイ。



本作がどんなゲームか、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
漁師の就職活動
とある男が船に乗ってどこかを目指している。
船内の机の上には、漁師募集の求人広告が置かれている。
主人公の男性は、どうやら漁師の仕事に応募するため、どこかの街に向かっているようだ。
航海しながら「霧が出てきたな」と思った次の瞬間。ドカァンッ!
突然、そびえ立つ崖の岩肌に船丸ごと正面衝突してしまった。
え!?こんな大きな崖があったのに気づかないほど霧が濃かったのか!?

漁師の借金
崖に激突して大破した船。しかし、主人公は奇跡的に目的地の町グレートマローに漂着した。
ところが、落ち着く間もゆっくり挨拶する間もなく、町長から「君の船、壊れたから。で、この新しい船使っていいけれど、君の借金になるから。さあ、漁に出て借金返済したまえ。」と言われる。
え、怪我の心配とかしてくれない感じ?しかも、勝手に借金背負わされた挙句に、すぐ働けと?
これは、とんでもない町に来てしまったぞ。
騙されてる感じがすごくするけれど、他に何も出来ることはないし、とりあえず借金返済を目指そう。

この海には秘密がある
早速用意されたオンボロトロリー船に乗って漁に出る主人公。
ついつい遅くまで漁に精を出していると、「ん?あれ?目玉がいっぱいこっちを見てる!?あ、他の漁船かな?え、えええ!化け物だー!!」。
突然、主人公は見たこともない化け物が現れた夜の海から命からがら魚を抱えて町に戻った。
ところが、誰も化け物の話を取り合ってくれない。
みんな何か知っていそうなのに「疲れて見間違いしたんじゃない?」みたいな調子ではぐらかされる。
困惑していると、収集家だという怪しい男から「この辺りの海に沈むお宝を集めて来い、報酬はたんまり出すぜ」と持ちかけられる。
報酬も気になるけれど、彼の話に乗ればこの海の秘密が分かるかもしれない。
こうして不気味な漁師生活が始まる。

ゲームの特徴Features
漁師の暮らし

本作では、漁で獲った魚を売りながら自分の船をアップグレードしつつ、上述した収集家が求めるお宝を探し出すのが大きな流れ。
各地の町にいるNPCからもサブクエストを依頼されることもある。
本作はオープンワールドになっていて、どのクエストを受けるか、どこから攻略するかはある程度自由だ。
また、ゲーム内には時間の概念がある。
しかし、常に自動で流れているわけではなく、主人公が移動したり釣りをするなど何らかのアクションを行っている間だけ時間が流れる(じっとしていたり船内の整理などをしている間は時間が止まっている)。
漁とサルベージ

船で航海しつつ、水面にしぶきが立っている場所では釣りをすることができる。しかし、浅瀬や深海など、その場に適した釣り竿がないと釣ることは出来ない。
釣りをする際には、タイミング良くボタンを押すちょっとしたミニゲームをプレイする。
タイミングよくボタンを押せると素早く漁を終えることが出来る。失敗すると時間がかかる。
また、カニ取り網やトロリー網などを使った漁も可能だ。
漁とは別に、サルベージスポットもあり、難破船の残骸などから、宝飾品や木や金属などの資材を手に入れることが出来る。
船倉はマス目状になっており、手に入れた魚や資材を上手く整理して収納し、町へ運んでいくことになる。
寄港する

各地には町や行商人の船がある。
獲った魚を売ったり、新たな船の設備を買うことが出来る。
魚はより大きなものや奇形種と呼ばれる珍しい魚であるほど、また新鮮であるほど(釣りあげてから時間経過と共に腐っていく)高く売れる。
また、サルベージで手に入る資材を消費して、エンジンを積める領域や船倉を大きくするなど船自体のアップグレードも出来る。
航海中には、岩にぶつかったり怪物に襲われると船が壊れ、船倉の一部が使用不可能になる。
町の造船所では、その修理も出来る。
また、各地で見つかる研究パーツを消費して新たな船設備をアンロックしたり、町では夜が過ぎるまで睡眠をとることも出来る。
パニックに陥る漁師

本作の海は怖い。特に夜だ。
夜になると、この世のものとは思えない怪物や超常現象が姿を現して襲ってくる。
怪物たちの動きは、主人公のパニック度と関係している。
暗くなると主人公のパニック度が上がっていき、それと共にどんどん怪物が現れて攻撃されるようになり、主人公は更に狂気に陥っていく。なかには、昼間でも大暴れしている怪物もいる。
怪物から逃げることは可能だけど、特に夜は霧が立ち込めており視界が悪く、岩肌に激突してしまう危険性も高くなる。
しかし、船にはライトがある。先が見えるし、パニック度も上がりにくくなる。しかし、明るい分、バケモノに見つかりやすくなってしまう。
どこかに寄港して睡眠をとるのが1番のパニック度改善方法だ。睡眠をとらないままでいると目がバッキバキ状態になり、昼間でも怪物が見えるし襲われるようになる。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ

4.0
知らない町に来て、漁をして生活する。しかも借金付きで始まる漁師生活。
そこだけ聞くと漁師版『あつまれ どうぶつの森』かと思ってしまう。気ままにほのぼの漁師生活か、と。

ところが、ゲームはじめから不気味度満点!
最初の夜から、他の漁船かと思って近づいたら凶暴なバケモノに轢かれ、周囲には目玉が浮かんでいた。
それだけなら「はい、ホラーですね」で終わりなんけど、本作ではNPCたちに化け物のことを知らないふりされる。更に主人公が化け物を倒そうとか脱出しようという展開にならない。これが良い。
唯一化け物の話を聞き出せそうな相手の収集家は、異常な力を持ってて逆に心が許せない。
この「自分だけがおかしいのか、いや、でも確かに化け物を見たはずなのに!」というヒヤヒヤゾクゾク感が面白くて物語の先が気になって、夢中でプレイしてしまった。
キャラクターの魅力

4.0
上述した通り、NPCたちは主人公に何かを隠してるし、何かしら闇を抱えてる感じもぷんぷん漂っている。
全員怪しくて、クエストクリア後にはとんでもない事態に陥る人もいて、みんな記憶に残る。
そして、キャラというか、本作の獲物である魚たち。
たまに釣れる奇形種は高く売れるので、釣れると「やった!」と思うんだけど、それと同時に「うわっ」とも思う。
見た目が禍々しいだけでなく、その説明文の内容も不気味で、釣るとアンロックされていく図鑑を読むのが面白い。
操作性

4.0
操作は移動と釣りがメイン。
バケモノに追いかけられると船をブーストして速度を上げて逃げなければならないので、ちょっとアクション要素も楽しめる。
また、ほんの少し岩にぶつかっただけで船が壊れるので、結構繊細に操縦しなければならない。
でも、特に操作しにくいとか当たり判定がおかしいといったことはなく快適。
釣りのミニゲームにはいくつかのパターンがあり、ゲームが単調にならないのも良い。
ただ、本作では常に船。
設定は色々いじれるけれど、基本的に船ならでは波に揺られている挙動になっているので、ゲーム酔いしやすい人は船酔いするかもしれない。
もし酔うなら、見下ろし視点になるようなカメラ位置にしてプレイするのがおすすめ。

難易度バランス

4.0
ほど良い難易度。
魚の売値と設備や修理などにかかる値段設定が厳しくないので、そこそこ漁をしていれば、着々とテンポ良く船のアップグレードが出来る。
それよりも、どのくらい夜の漁に出るかによって難しさは変わる。
日が暮れてきたら必ず寄港するというプレイなら、毎日出来ることは少なくなるけれど、リスクの低いプレイができる。
時には夜にしか釣れない魚を獲らなければならないクエストもあるけれど。
というわけで、1番の難しさは時間管理だ。時間経過のペースがかなり早めなので、ウロウロしているとあっという間に夜になってしまう。
時間配分を考えてから出港するのが大事。
ゲームシステム

4.5
上述もしたけれど、漁師生活というと穏やかなゲームを想像してしまう。
しかし、そこにクトゥルフ神話な物語とか、正気度を利用したゲームシステムが混ざっているのが新鮮。
これによって、ともすれば単調で間延びしがちな釣りゲームが、刺激的なゲームに大変身している。
それでいて、色んな種類の魚がいるし、釣りスポットもアップグレードも豊富で、釣りをしてお金を稼ぐという漁師ライフシミュレーションな部分もちゃんと面白く仕上がっている。
あと、より多くの獲物を持って帰るために船倉を整理整頓するパズル要素にも地味にハマる。
ハラハラホラー味のあるメインストーリーで惹きつけつつ、釣りのちまちました作業で更に熱中させるという、緩急の付け方が上手いゲームだ。
やりこみ要素

4.0
色んな魚を奇形種含めて釣りまくるのが1番のやり込み要素。図鑑を埋めていくので分かりやすい。
また、より多くのクエストを攻略するのもやり込み要素だ。
クエスト報酬では本をもらえることがあり、それによってパッシブスキルがアンロックされる。
更に、海に漂っているメッセージボトルを見つけることがあるし、さまざまな探索スポットもある。
そうして見つかる情報によって本作の物語がより分かり、不気味さも深まるので、色んなところを探してみるのがおすすめ。
また、2023年11月16日(海外時間)には追加DLC「The Pale Reach」も発売される。
グラフィック

4.0
デフォルメされた3DCGグラフィック。
昼間の時間帯のゲーム画像だけ見たら、「ほのぼのした可愛いゲームなのかな」とうっかり思ってしまう。
珊瑚礁や夕陽など「ああ、綺麗だなあ」と思う瞬間もあるんけれど、まったり眺めている暇はない。
海の底からだんだん近づいてくる化け物の影は、デフォルメされているとはいっても、かなり不気味だ。
パニックになると赤い目がふよふよし始める演出も良い感じ。不気味さが際立っている。
サウンド

4.0
上述した通り、一見穏やかに見えるゲーム画面だけど、BGMは常に手を抜かずに全力で不気味さに全振りしている。
綺麗な景色が広がっていても、BGMは常に不穏だ。
昼間の時間帯でもプレイヤーをハラハラさせる要素になっていて、BGMがいい仕事をしている。
総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
不気味な雰囲気が抜群
釣りが楽しい
良い加減で急かされるゲームシステム
残念なところ
酔いやすい人だと船酔いする挙動
オススメな人
クトゥルフ系の世界が好き
色んな魚を釣りたいコレクション欲がある
物語を楽しみたい
オススメではない人
不気味な演習が苦手
急かされるゲームが嫌い
釣りだけを楽しみたい



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Sea of Solitude
海が舞台のアドベンチャーゲームなら、こちらもおすすめ。主人公の精神世界が海で表されており、負の感情が化け物となって襲ってくる。ホラーというわけではなく、感動する物語が味わえる。

Moonglow Bay
釣りが好きなら、こちらもおすすめ。釣りがメインのライフシムゲーム。こちらも海には怪物が潜んでいるけれど、癒される穏やかなゲームだ。

DREDGE
狂気と秘密がうごめく海
得体の知れない化け物が潜む海で、秘密に迫っていく物語に引き込まれるアドベンチャーゲーム。 魚を釣って売り船をアップグレードするという没頭するシミュレーション要素と、夜になるとパニックになるハラハラ感のギャップに夢中になる。
DREDGE ドレッジ
DREDGE © Black Salt Games Limited, published under licence by Team17 Digital Limited.
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