『The Last Faith』レビュー: 主人公が腐っていくメトロイドヴァニア
美しく不気味なピクセルアートに見惚れながらソウルライクが味わえるメトロイドヴァニア『The Last Faith』をネタバレなしで要素ごとに詳しい評価を交えてレビュー。。
本作に似ているおすすめゲームや関連作も紹介する。
The Last Faith製品情報
タイトル | The Last Faith |
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開発元 | Kumi Souls Games |
対応機種 | PS5, PS4, Nintendo Switch, Xbox, PC |
ジャンル | メトロイドヴァニア, ソウルライク, 2D横スクロールアクション |
本稿ではPC版をレビューしている。
The Last Faithの攻略
ストーリー
捕まっていた男
どこかに閉じ込められている男。どうやら身一つで檻の中に捕まっている。
が、画面が暗転し、誰かを殴る音が聞こえる。
そして、画面が明るくなると、男は既にバッチリかっちりなコーディネートに身を包んでいた。男は看守か見張り役の人をぶん殴って、脱獄に成功したようだ。
そこから男はおもむろに走り出す。どこへ?
腐敗する男
化け物だらけの道を走り抜け、主人公はオックスネビル邸宅と呼ばれる立派なお屋敷に行き着き、やっと会話ができる人に出会うことができた。
ここで遂に本作のあらましが明らかになる。主人公の男の名はエリック。
エリックには記憶がないけれど、その身が腐敗していき人ならざる者になってしまう運命にある。呪いであり、原因不明の不知の病のようであり、とりあえずエリックはピンチというわけだ。
そして、この呪いは本作の舞台である都市ミスリンガルを中心に蔓延しており、そこかしこが化け物だらけになってしまっているという。
呪いの元凶を追え
化け物だらけではあるけれど、エリックはじっとしているわけにはいかない。腐敗するなんてまっぴらごめんだ!
エリックは運命に抗うため、呪いの正体と解決方法を見つけるために危険すぎるミスリンガルの街へ飛び出していく。
呪いの元凶とされる高貴な者、コールドワンと呼ばれる化け物たち、そして、一番謎なエリック自身のの過去。エリックの謎まみれな戦いが始まる。
攻略のポイント
自由に迷うメトロイドヴァニア
本作はメトロイドヴァニアゲームなので、新たな移動スキルを習得するたびに探索できる範囲が広がっていく。
NPCからはほんのり情報を教えてもらうことは出来るけれど、基本的に自力で進める道を見つけて探索する。目的地の場所も行き方も誰も手取り足取り教えてくれない厳しい街だ。
各地にはセーブポイントがあり、セーブポイント間ではファストトラベルが可能だ。
ソウルライクなバトル
本作のバトルシステムはソウルライクだ。
敵を倒すと経験値であり通貨にもなるナイクラクスを獲得する。ナイクラクスはゲームオーバーになると全て失ってしまうけれど、前回の死亡地点に戻れば回収できる。
また、セーブポイントに触れると体力が全回復すると同時に雑魚敵が全復活する。ソウルライクそのものだ。
エリックは、近接武器と遠距離武器、そして魔法でも攻撃することが出来て、回避やパリィももちろん出来る。腐敗していくとはいえ元気な男だ。
本作にスタミナゲージはなく、魔法や各武器に備わっている固有スキルの発動には集中ゲージを消費する。また、パリィなどのスキルにはパワーゲージを消費する。
本作での体力回復薬は消費アイテムであり、購入したり敵を倒して集める。しかし各アイテムには携行できる数に上限があり、余剰分はストックに回される。
セーブポイントに触れると、消費アイテムがストックから携行上限数まで自動補充される。
避難所になるオックスネビル邸
本作の拠点は、上述したオックスネビル邸だ。
ここではレベルアップ(任意のステータスをアップグレードする)やNPCと会話して情報収集ができる。NPCの中にはアイテムを売ってくれる人もいる。
探索中に出会うNPCのなかには、オックスネビル邸に登場するようになる者もいる(自宅ではないけれど、エリックが勝手に招待する)。また、NPCごとにサブクエストも発生する。
物語や探索のヒントを教えてくれるNPCもいるので、正気を保っている人を見つけたら、とりあえず話しかけるといい。
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The Last Faithの評価と感想
物語の面白さ
怪しい人体実験、人間性を失う呪い、ゴシックホラーな雰囲気。
多くのソウルライクゲームの例に漏れず、暗くて陰鬱な世界ですんなりとは分かりにくい物語で、言い回しも難解。ソウルライクゲームの中では『Bloodborne』に近い雰囲気だ。
「不気味さと気持ち悪さ、やっぱりこれだよな」とダークファンタジーなソウルライク好きのツボを気持ち良く突いてくる。
NPC達は全員様子がおかしいし、ボスは前口上もなく殴ってくる。
というわけで、全く感情移入しやすくないけれど、セリフをよく読めば物語は理解できるし、ちゃんと物語は楽しむことが出来る。
言い回しは難解でも「偉そうな奴に挑むぜ!」というやる気が湧きやすい物語であり、徐々に謎が明らかになってくる。
キャラクターの魅力
上述した通り、NPCはみんな胡散臭い。突然裏切られそうだ(主人公も十分怪しいけれど)。
会話時にはキャラの立ち絵も表示され、怪しさ満点だけど、どこか気品を感じる人ばかりだ。
かと思いきや、ボスはなりふり構わず大絶叫しながら大暴れするし、雑魚敵はめちゃくちゃ殺気立って刃物を振り回している。
現実なら絶対にこんな街から逃げ出したくなるけれど、登場人物含めてゴシックホラーな雰囲気むんむんで最高。
エリックは記憶喪失にも関わらずやたらと落ち着き払っていて、佇まいがかっこいい。魅力的な主人公だ。
エリック自身も喋るし、NPCとの会話は意外と多く(しかもボイス付き)て、各キャラとの怪しい交流も楽しめる。
操作の快適さ
移動速度はもったりしているけれど、攻撃に関わるアクションはキビキビめで、当たり判定は問題なし。
武器種によってしっかり振りの速さや射程が変わるので、敵や戦況に合わせて使い分ける楽しさが味わえる。
チュートリアルはかなりあっさりしているけれど、マップには開けていない扉が自動で色分けされるなど親切さもある。探索し直す際に便利な機能だ。
ただ、一番気になったのは、左右に方向転換する際に少し間があること。半歩くらい反対方向に滑る感じだ。
攻略に支障が出るほどではなく慣れれば問題ないけれど、やはりゴシックな世界というのはターンもエレガントなのかもしれない。
また、足場の縁に手を引っ掛けてくれない時があったり、ファストトラベル場所を選ぶ際はマップ画面を動かせないなど細かな気になるところはある。でも、ストレスになるほどではなく、問題なくプレイできる。
難易度バランス
ソウルライクゲームなので、もちろん高難易度だ。難易度選択は出来ない。
地形トラップも多く、火傷や凍傷など状態異常はしっかり痛くて、特にボスの一撃は重い。
本作の回復薬は消耗品なので、在庫管理の難しさもある。ボスに負けて何度もリトライしているとジリ貧になってしまう。
でも、レベルアップで強くなれるので、着実に攻略しやすくなっていく。
また難所の前にはセーブポイントとは別に一時的なチェックポイントもあり、リトライしやすいのは嬉しいところ。
探索については、完全に手探りで自力で道を見つけ出すメトロイドヴァニアの醍醐味がしっかり味わえる。
ゲームシステムの面白さ
ソウルライクなメトロイドヴァニアゲーム。
人気のジャンル組み合わせであり、この2つの特徴を持つゲームは多い。で、本作はというと、その中でも探索もバトルもしっかり楽しめるクオリティの高いゲームだ。
ヒントが少なめで完全に手探りで進むしかないし、行ける道が複数ある場面も多く、「どこから行こう、どっちに行こう」のワクワクが止まらない。
隠し部屋やショートカットを開通出来る場所も多い。
また、新しい移動スキルを習得した際に探索できるようになる範囲が偏っておらず、各地に散りばめられているのも良いところ。同じ場所でも何度も再発見があるメトロイドヴァニアの楽しさが存分に味わえる。
やりこみ要素の楽しさ
メトロイドヴァニアゲームなので、まずはマップ全制覇が一番のやり込み要素。
上述した通り、隠し部屋が多いので、壁を殴りながら進むのがおすすめ。
また、武器も魔法も種類が多く、さらに武器は強化も出来る。武器に属性を付与できるアイテムもあるし、自分の好きなプレイスタイルを確立するのも楽しさだ。
そして、各地でNPCに会うのもやり込み要素の1つ。サブクエストもあるので、NPCの話はよく聞いておいた方がいい。
また各地には物語がより理解できるテキスト情報や、とある人が集めている胎児を見つける(お礼として貴重品が貰える)など収集要素もある。
グラフィックの芸術性
とにかく見惚れる。本作をプレイして一番最初に思ったことは「画面が綺麗」。
ゴシックホラーな世界が緻密なピクセルアートグラフィックで描かれていて、どこもかしこも見ごたえ抜群。
もちろん自然の美しさや可愛さなどは微塵もない世界だけど、荘厳で上品でゴシック系の世界が好きな人なら堪らないはず。
腐りかけの人が多いけれど、キャラデザインも素晴らしい。
サウンドの魅力
宗教色を感じる壮大で不気味な曲調のBGMが多い。
不気味さを高める効果音がゴーンと鳴り響くことが多いので、大きな音でびっくりしやすい人は音量調節にお気をつけて。
BGMはしっかり鳴り、敵のグォオオオとかピギャーといった鳴き声も相まって、良い意味でうるさい。
ゴシック系の世界が舞台だとサウンド面は抑えめなゲームも多いけれど、本作は音がしっかり鳴っている。
特にボスの絶叫ぶりはすごい。ただ、これが攻撃パターンを見極めるサインだったりもするので、特にボス戦では大きな音が苦手な人でも音量を下げすぎない方がいい。
本作と似ているゲームや関連作は更に下へ
The Last Faithレビューのまとめ
おすすめな人
- 探索が好き
- ソウルライクゲームが好き
- ピクセルアートが好き
おすすめではない人
- 探索のヒントをしっかり教えて欲しい
- 死にゲーが苦手
- 不気味な雰囲気や気持ち悪い演出が苦手
総合評価良いところ&残念なところ
- 手探りで自由に探索できる
- 歯ごたえのあるバトル
- 見惚れるゴシックホラーなピクセルアートグラフィック
- チュートリアルが不親切
- 移動がもったりしており、挙動の細かな部分に癖あり
The Last Faithが好きならおすすめゲーム
似ているゲーム
Blasphemous 2
高難易度で宗教色の強いゲームでピクセルアートという、本作と近い高評価メトロイドヴァニアゲーム。
独創的な世界設定が魅力で、デスペナルティが蓄積される厳しさも特徴。
Salt and Sanctuary
ソウルライクなメトロイドヴァニアといったら、こちらもおすすめ。
ボスが多くバトルがたっぷり楽しめるだけでなく、マップ画面がなく道を覚えながら進む探索がも魅力。
Death’s Gambit: Afterlife
こちらもソウルライクなメトロイドヴァニアゲーム。
キャラクタービルドや武器種の選択などが楽しめて、物語が面白く感情移入しやすいのも魅力。
The Last Faith
© 2023, Playstack and Kumi Souls Games, all rights reserved.
https://www.thelastfaithgame.com/
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