『TUNIC』レビュー: 攻略本が読めない
『TUNIC』とは、Andrew Shouldiceが開発したアクションアドベンチャーゲーム。
往年の『ゼルダの伝説』にインスパイアされて開発されている。
本作は、PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox、PCでプレイ可能。私はXbox版をプレイ。
本作はどんなゲームか、その特徴や魅力と共に実際にプレイした感想と各要素の評価をネタバレなしでレビューする。また、本作に似ているゲームも紹介する。
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あらすじStory
子ギツネ
ゲームが始まると、子ギツネがどこかの浜辺で目覚める。
本作にはセリフはなく、子ギツネはヨイショと立ち上がり、黙々と歩き出す。
子ギツネは完全に手ぶらで丸腰。
でも、本作は『ゼルダの伝説』に影響を受けて開発されたということもあってか、緑色のチュニックを着ている。
だからタイトルがチュニックなのか、それとも主人公の名前がチュニックなのか、全て謎。
キツネ神?
主人公がどんどん探索していくと、大きな金の扉が現れる。
厳重そうだけど、押してみると予想に反して簡単に扉を開けることが出来た。
おじゃましまーす。と、中に入ってみると、そこは異空間。
更に奥には、女神のようなキツネが何かに閉じ込められている。
が、次の瞬間、謎の力で子ギツネは扉の外に吹っ飛ばされてしまい、扉は1ミリたりとも開かなくなってしまった。
チュニックキツネの目的
「仕方ない、扉はひとまず諦めるか」と主人公が木の枝をぶん回しながらウロウロしていると、紙切れを何枚か見つける。
紙をしげしげと眺める。いや、全然文字が読めないんですけど。
ただ、少し分かったことがある。
どうやら、ここは「天上の世界」と呼ばれる場所で、とてつもない財宝が眠っているらしい。
それが子ギツネの目的なのか!?
しかし、あのキツネ女神は一体何者だったのか。
更にウロウロしてみよう。そうしよう。
ゲームの特徴Features
行けるところから探索
本作の舞台は、地続きでいくつかのエリアに分かれている。
各地にはダンジョンやボスが待ち構えていて、謎解きしつつ攻略していく。
進めるところのどこから進んでもいい。
何らかの道具を手に入れていないと進めないところもあるけれど、基本的に自力で道を見つけて進んでいくことになる。
子ギツネバトル
各地で様々なアイテムや武器を見つけることになる。
3つのボタン(Xbox版ではX、Y、Bボタン)に武器でもアイテムでも、各ボタンに好きなものをセット可能。ボタンを押せばセットしたモノを使用できる。
また、ローリング回避と盾ガードも可能。
ローリング回避にはスタミナを使用する。でも、攻撃にはスタミナは使用しない。
また、盾にもゲージがあり、短時間に攻撃を受け止めすぎて盾ゲージがゼロになるとHP上限値が減るので注意。盾ゲージはゼロにならなければ、時間経過によって回復する。
キツネ攻略本
本作は、ゲーム内攻略本しかヒントがないけれど、文字が読めないのが大きな特徴。
チュートリアルでさえ完璧に判読できない。
また、本作には「次はここへ行くのじゃ!」と指南してくれる長老とか、「ヘイ!」とヒントを出してくれる妖精もいない。
冒険の道しるべとなるのは、各地で手に入る紙切れ。
紙切れはゲーム内攻略本の抜け落ちているページであり、ゲームシステムや地図など冒険に必須の情報が書かれている。
が、ページを手に入れたからといって最初から全て判読することは難しく、推測したり、ページを集めることで少しずつ情報が理解できるようになっていく。
ほんのりソウルライク
本作では、敵を倒すとお金が手に入る。経験値といった概念はなく、レベルアップしていくシステムでもない。
ゲームオーバーになると、いくらかお金をぶちまけて死んでしまう。
でも、前回死んだ場所に戻るとお金を回収可能。回収前に死んでしまうと永久に失ってしまう。
また、セーブポイントに触れると雑魚敵が全復活し、回復薬が満タンになる。
そう、ほんのりソウルライクだ。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ
4.5
本作の物語要素は軽い。セリフはないし、冒険の明確な動機づけもないし。
でも、物語はちゃんとある。
廃墟や遺跡などを目にしながら「昔何があったんだろうか」と考察しつつ進んでいると、突然、未来的な装置や人工物がドーンと登場したりする。
子ギツネが何者なのか、結末はどうなるのか、もう気になって仕方ない。
はっきり語りはしないのに、「気になるでしょ?ほーら、気になってきたでしょ?」とでも言いたげに、子ギツネはフンフンと走り回る。
そこら中に気になるものが巧みに散りばめられている。
更に謎の攻略本。これを見ていると、余計に妄想が膨らむ。
もう、この世界に夢中だ。言葉ではないモノで想像力をかき立ててくるのが上手い。
キャラクターの魅力
5.0
主人公が可愛すぎ。
敵の近くを通ると敵の方をチラチラーっと見るし、スタミナを使い切ると汗出しながら頑張るし。
かと思えば、魔法の武器を使うと「ヤァーッ!」とドヤ顔でポーズをとるし。
仕草がいちいち可愛すぎ。
謎の攻略本にはイラストも多いんだけど、そこに描かれれてる子ギツネの姿がこれまた可愛い。
実は、プレイする前までは、「なんでキツネなんだろう?」と思ってたんだけど。
ちくしょう、可愛すぎる。キツネで良いんだ。理由なんていらない。
操作性
4.5
操作は分かりやすい。
敵をロックオンすると視点が少し変わって見やすくなるし、バトルもストレスなし。
本作は、チュートリアルの文字も完璧に読めないので、ある程度試行錯誤して操作を学ぶ必要があるけれど、基本的に操作法はシンプル。
挙動も良く、当たり判定などもしっかり精度が高い。
難易度バランス
5.0
本作のバトル難易度は、歯ごたえあり。
心折れるまでではないけれど、苦戦することも多い。可愛い顔して、がっつりバトル。
それよりも、ゲームシステムを理解しようとしたり謎解きのとっかかりをひらめく方が難しい。それが面白さでもある。そもそも謎解きを見つけるところから大変だったりもする。
攻略本は読めないけれど、それでもちゃんと読み込まないといけない。
私は、主人公の基礎ステータスアップグレードをしばらく見逃していて、猛烈な鬼畜難易度でプレイしていた。
そんな時頼りになるのはゲーマーとしての勘だ。
今までプレイしてきたゲームの知識(特に『ゼルダの伝説』シリーズ)を使って、「きっとこういうこと出来るはず」「これはアレのことだ」と推測する。
それが面白いところなんだけど、もしゲームの経験が少ないなら苦労するかもしれない。
ゲームシステム
5.0
バトルや謎解きはもちろんのこと、探索が楽しい。
固定の斜め上から視点を逆手に取りまくっていて、意外なところに抜け道や宝箱などが隠されている。
歩いていたら意外な場所につながってて「なにぃ!?さっき通った時に気づいてなかったー!」と唸る。こうなると、曲がり角や物影が気になって仕方ない。
そして、ゲーム内攻略本の読み解き。これが本気で面白い。
色んなゲームでチュートリアルは経験してきているけれど、伏せ字のチュートリアルとは初めてだ。
攻略本は一見謎だらけだけど、眺めていると確かに分かってくる。進むべき道が見えてくる。
プレイヤーに試行錯誤させつつ、ちゃんと気づかせる工夫もある。作り方がすごく巧い。
アクションなどゲームの基本的な部分の質が高く、更に斬新な攻略本が謎解きというシステム。
そして、考察させる物語と、メロメロになるキツネの可愛さ。
これは、ハマる。
やりこみ要素
5.0
先述した隠し通路たっぷりの探索がやり込み要素。
一見単純そうに見えるマップだけど、いつか反対側から見てみたいと思うほど裏道が大量。ショートカットも大量。
メトロイドヴァニアな面白さも味わえる。
また、本作では特定のアイテムを使うと主人公のアップグレードが出来る。
どこまでアイテムを集めてアップグレード出来るかもやり込みの1つだ。
そして、かなりの数の謎解きや隠しアイテムがあり、さらには真エンディングもある。
どこまで攻略本を解読できるか。素通りしやすい場所にも謎解きは隠されているし、かなりボリュームたっぷりだ。
グラフィック
4.5
穏やかな風景から始まり、機械だらけのエリアや不気味な地下まで。
さまざまな風景が登場するけれど、全体的にほのぼの可愛い。
主人公が可愛さ1000%なので、どこにいても可愛く見えてしまうせいもあるけれど。
ジオラマを上から覗き込んでいるような感覚になる、素敵なグラフィックだ。
サウンド
4.5
不気味なエリア以外は、BGMは癒しの曲調が多い。
バトルになっても、ジャカジャカ勇ましい曲調になることはなく、全体的に穏やかな雰囲気。
可愛くて癒し。ゲームプレイは歯ごたえがっつりだけど。
\\試聴できます//
総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
読めない攻略本を解読する謎解き
歯ごたえのあるバトル
裏道がたくさんある探索
キツネが可愛い
残念なところ
ゲーム経験値がある程度必要
(面白いところでもある)
オススメな人
『ゼルダの伝説』シリーズが好き
歯ごたえのあるゲームを探している
自分で道を見つける探索が好き
オススメではない人
ゲームの経験が少ない
丁寧なチュートリアルが欲しい
難易度選択したい
Death’s Door
こちらも『ゼルダの伝説』にインズパイアされつつも、独自の世界設定やバトルの面白さを兼ね備えた高評価アクションアドベンチャー。本作よりもバトル要素が多めな死神カラスの物語が楽しめる。
ゼルダの伝説 夢をみる島
本作が影響を受けた『ゼルダの伝説』。近年は8頭身キャラの3Dアクションになっているけれど、本作に近い往年の『ゼルダの伝説』を求めるなら、こちらがおすすめ。
TUNIC
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