『Blasphemous 2 ブラスフェマス2』とは、The Game Kitchenが開発したメトロイドヴァニアゲーム。
同じくメトロイドヴァニアで高評価されている『Blasphemous ブラスフェマス』の続編だ。

前作の内容を知らなくても特に問題ないので、本作からプレイしても大丈夫。
本作は、PCでプレイ可能。日本国内向けPS5版、Nintendo Switch版、Xbox版は2023年10月に発売予定。私はPC版をプレイ。
本作がどんなゲームか、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
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あらすじStory
棺の中から、おはよう
重々しいナレーションと共にゲームが始まると、石棺の中から三角ヘルメットがニョキッ。
本作の主人公だ。悔悟者と呼ばれており、前作から続投で主人公を務めている。トレードマークは三角のフルフェイスヘルメット。
ちなみに、前作についてざっくり書くと、呪いのような奇蹟が人々に降り注ぐ世界で、悔悟者が贖罪の旅に出て「こんな世界のシステム丸ごと壊してやるぞ!」という物語だった。たぶん。
というのも、前作も本作も宗教色が強い物語で、物語や世界設定は難解だ。
とりあえず分かることとしては、前作で石棺に納められた主人公の安否は不明だったけど、どうやら眠っていただけらしい。

奇蹟の子
悔悟者は、どうやらお告げによって目覚めたらしい。前作と異なる地で、悔悟者にはまた試練が課される。
この地には大きな石像によって持ち上げられた街があり、そしてその上空には巨大な心臓が浮かんでいる。
その心臓から新たな奇蹟の子が生まれるそうだ。前作のような恐ろしい奇跡が降り注いでしまうことになるのか?
いやいや、まずその前に、空に心臓があって、心臓から何かが産まれるって、そもそも何が何でどうなってるんだ。
でも、そういった素朴な疑問を投げかける暇は一切なし。
悔悟者は、さっさとせっせと画面右へと進んでいく。

持ち上げられた街へ
悔悟者が進んで行くと、大きな手に乗った女神のような人に遭遇する。
アヌンシアダと名乗るその人から、悔悟者に今回与えられた試練についてのオリエンテーションが行われる。
まず、巨大な石像で持ち上げられた街へ向かうこと、そして、奇蹟に選ばれた大信心会の罪人たちを打ち倒すこと。
言葉は難しいけれど、試練の内容は分かった。よし、行こう。
あ、でも、直通エレベーターとか見当たらないんだけど、どうやって上の街へ行けばいいのか?
しかし、アヌンシアダはざっくりとしたオリエンテーションを終えてさっさと帰ってしまった。
進める道を見つけること、そう、そこから試練は始まっているのだ。

ゲームの特徴Features
メトロイドヴァニア

本作はメトロイドヴァニアゲームだ。
各地でボスを倒したり、新たな移動スキルを習得することによって進める場所が増えていく。
メインストーリーの目的地は地図に表示されるけれど、そこまでの道のりは自力で探すことになる。
本作では探索順序は自由であり、各地にサブクエストも散りばめられている。
メインストーリーは参考程度に、基本的には自由に進める場所を見つけて攻略していくことになる。
武器と魔法

主人公は基本の3種の武器を切り替えて使うことが出来る。
使い勝手の良い剣、素早い双剣(実際にはレイピアとダガー)、重い鎖付き巨大提灯だ。
それぞれ挙動は異なり、コンボ技やスキルも異なる。
主人公は攻撃、パリィ、回避が出来て、敵を倒すと償いの涙を手に入れる。これが本作の通貨にあたる。
また、ボスを倒したり雑魚敵を倒していると殉教の印章を手に入れる。
これはスキルポイントであり、武器ごとに分かれているスキルツリーをアンロックして新たなコンボ技などを習得することができる。
武器攻撃とは別に、特定のアイテムを手に入れると習得する祈詞と呼ばれる魔法をも使うことが出来る。
魔法は、敵に攻撃を当てる度に溜まる熱情ゲージを消費して使用する。
デスペナルティが溜まる

熱情ゲージの右端が棘で縛られている
本作では、ゲームオーバーになると、その場に罪禍の欠片という主人公の分身が遺り、最後に触れたセーブポイントである祈祷台に戻る。
その際、熱情ゲージの最大値が少なくなり、防御力が下がる。いわゆるデスペナルティだ。しかし、償いの涙は手に入りやすくなるというメリットもある。
そして、遺された罪過の欠片を拾えば元に戻すことが出来る。
が、このデスペナルティは蓄積されるのが本作の特徴。
回収しない限り罪過の欠片は残り、罪過は死ぬ度に追加されていく。
しかし、特定の場所で償いの涙を払うと一気にデスペナルティを解消することも出来るので、万一とんでもない所で息絶えても安心だ。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ

4.5
神を信仰せよ。さすれば奇蹟が授けられる。
でも、奇蹟の番人である大信心会は怖いし、人々は狂信的に神にすがっているような状態。明らかに歪な世界だ。
そして、プレイヤーにとっては、言葉が、文章が、使われている漢字までもが難しい世界だ。セリフはカッチカチにかたい。
この荘厳で恐ろしくて甘えを許さない感じ。これが最高。
主人公の三角ヘルメットから始まり、隅から隅まで個性大爆発している世界だ。
感情移入するわけではないけれど、世界設定や雰囲気作りが抜群に素晴らしくてどっぷり入り込んでしまう。
難解ではあるものの世界設定はしっかり練られていて、考察したい欲をくすぐるフレーバーテキストも散りばめられている。
ちなみに、難解だからといって訳が分からないわけではない。絶対的で大いなる存在に楯突く物語だ。
もし理解できなくても「ボスっぽい奴見つけたら、とりあえず倒そう」な心持ちでも十分楽しめる。
キャラクターの魅力

4.5
主人公にセリフはない。黙々と試練に挑戦する。
ただ、敵をスタンさせると発動できる処刑アクションではかなり残虐な行動をとるので、凶暴な一面を持っているようだ。
そして、NPCは全員最高に不気味。もはや生態不明な摩訶不思議生物もいる。
ボスやNPCのデザインも最高で、宗教絵画のような華やかさや荘厳さがありつつ、気持ち悪さも兼ね備えている。
一人一人丁寧に作られていて第一印象から強烈。一度見たら忘れられない奴ばかりだ。
サブクエストを依頼してくるNPCでさえ、最初はボスかと思って斬りかかってしまいそうになるくらい怪しい。
見た目だけでなく、NPCやボスはセリフも思わせぶりで不穏。それぞれの物語は突拍子もなく不気味で面白く、さらに考察欲が湧いてくる。
操作性

4.0
主人公の挙動はキビキビしていて、操作していて気持ち良い。
武器によってしっかり挙動が変わり、長所も短所もしっかり味わえるよう作り分けされている。
武器はサクサク切り替えらえるし、UIも分かりやすい。
マップ上にはマーカーも好きに置けるので、新しい移動スキルを手に入れた後の再探索時にも便利。
ただ、雑魚敵を倒して殉教の印章が獲得できる時と、罪過の欠片を回収しても残る自動蓄積デスペナルティは確認しにくくなっている。
デスペナルティは街にいるNPCに頼めば解消してもらえるけれど、先に進みたくて自動蓄積デスペナルティはそのまま残して攻略を続けてしまうことが多い。
しかし、一定以上蓄積されると強力な魔法が使えなくなるので、さすがにきつくなる。「今、このぐらい蓄積されてますよ」と視覚的に確認できると「さすがにそろそろ街に戻るか」という目安になるので便利だと思う。
ただ、「罪深き者は祈れ」という教えのこの世界には、そんな優しさはないようだ。
難易度バランス

4.5
本作は高難易度アクションだ。
道中では雑魚敵にバコバコ叩かれ、ボスにはザックザク斬られる。足を踏み外してトゲにぐっさり刺さったり、シャンデリアが天井から落下してきて脳天にバコーンと直撃する。
デスペナルティが溜まって防御力は下がるし、雑魚敵に壁との間に挟まれて抜けられなくなることもある。
物語や世界設定と同じく過酷だ。
でも、武器が替えられるし、後述するロザリオや背障によって好みのステータスボーナスを付けられるので、自分好みのプレイスタイルで戦うことが出来る。
パリィのタイミングも厳しすぎず、ボスの攻撃パターンもちゃんと見極められる。
理不尽のない高難易度さだ。
ちなみに前作と比較すると、戦術が豊富なせいか、本作の方がバトル難易度はやや易しめの印象だ。いや、もちろん、しっかり死にゲーなので高難易度さに期待している方はご心配なく。
ゲームシステム

5.0
「悔悟者よ、どこからでも探索するがいい!」という神の懐の広さを感じる自由な探索が楽しめる。
あっちこっちに進める道があり、そこかしこに「行けそうだけど今はまだ行けない!」という道が見える。
探索好きマンのうろうろしたい欲求をしっかり満たしてくれる面白いマップ構造だ。隠し部屋ももちろんある。
一方で目的地を地図に記してくれるので、道に迷ってしまうという人にも安心仕様。
そして戦術の幅が広いのも熱中するポイント。例え本作に探索要素がないバトルだけのゲームだったとしても熱中するくらいバトルが面白い。
探索によってもバトルによっても頑張った分だけ主人公が強化されるというバランスの取り方も上手くて、どちらの要素もクオリティが高い。
上空の心臓に到達するよりも前に、前作に引き続き私のハートに三角ヘルメットが突き刺さった。スタートした瞬間から夢中になってプレイできる最強メトロイドヴァニアだ。
やりこみ要素

4.5
やり込み要素は大きく分けて2つ。
1つはサブクエスト。各地に怪しさ満点のNPCたちがいて、彼らが求めているアイテムを手に入れてくるといった内容のものが多い。
また各地に浮かんでいる瓶詰め赤ちゃんを救出する収集要素もある。
2つ目は、主人公の強化。スキルアンロックや強化アイテムによる基礎ステータス向上だけでなく、装備品であるロザリオと背障によるステータスボーナスも得られる。
各地で手に入れられるアイテムをロザリオにセットすると、攻撃力が上がるといった追加効果を付与することが出来る。
背障は、彫像だ。街にいる彫刻家を訪ねて、手に入れた彫像を恩寵の背障に配置すると様々な効果が得られる。その並べ方によって相乗効果も得られる。
ロザリオも背障もセットできる数には限りがあるので、組み合わせはプレイヤー次第だ。
グラフィック

4.5
本作ではカットシーンはアニメで描かれ、ゲームプレイ部分は全て緻密なピクセルアートグラフィックで描かれる。
荘厳で繊細な建造物やキャラデザインは本当に奇妙で美しい。
特にボスのデザインは最高に不気味で厳か。
主人公の攻撃(特に処刑アクション)も敵の攻撃の演出も丁寧な残虐さ。
最高のピクセルアートグラフィックが堪能できる。
ドット絵というと可愛さを感じるゲームが多いけれど、本作に可愛げは一切なし。
サウンド

4.5
宗教色強い世界設定に合った荘厳なBGMが流れている。
とはいっても、穏やかだったり静かに厳かというわけではなく、気持ちが盛り上がってくる曲調だ。
世界の雰囲気は不気味だけど、BGMは不気味というわけではなく、どれも聴き入ってしまうカッコ良い曲ばかりだ。
総合評価Summary
4.5
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
戦術の幅が広いバトル
探索に熱中するマップ構造
デスペナルティが蓄積する高難易度さ
怪しく美しい世界
残念なところ
確認しにくいパラメータあり
物語が難解(良さでもある)
オススメな人
メトロイドヴァニアが好き
死にゲーが好き
物語を考察するのが好き
オススメではない人
分かりやすく楽しい物語が好き
気兼ねなくゲームオーバーになりたい
残虐な演出が苦手
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Blasphemous ブラスフェマス
前作。悔悟者の物語はここから始まった。本作より戦術は少ないけれど、夢中になる探索の面白さも苦しいボス戦もたっぷり楽しめる。マルチエンディングであり、追加DLCの結末が本作に繋がっている。

Death’s Gambit
ピクセルアートで高難易度アクションなメトロイドヴァニアゲームなら、こちらもおすすめ。ソウルライクなシステムとなっており、さまざまな武器種や経験値による主人公のレベルアップも可能。こちらも世界設定が独創的で魅力的。

Blasphemous 2
心臓に突き刺さる三角ヘルメット
探索に熱中するマップ構造、自分好みのプレイスタイルを組み立てられるバトル、考察欲をくすぐる雰囲気抜群な物語と、全要素のクオリティが高く夢中になるメトロイドヴァニアゲーム。
高難易度さも魅力で、デスペナルティが蓄積していくシステムが厳しくも面白い。
サブクエストや主人公の成長要素も豊富で、隅から隅まで丁寧に作られている高評価作。
Blasphemous 2 ブラスフェマス2
Developed by The Game Kitchen. © 2023. Blasphemous 2 is a trademark or registered trademark of The Game Kitchen. Published by Team17. © 2023. Team17 is a registered trademark of Team17 Digital Limited.
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