『FANTASIAN ファンタジアン』とは、ミストウォーカーが開発したRPG。
ミストウォーカーは、ファイナルファンタジーシリーズの生みの親である坂口さんと、FFシリーズの名曲を生み出してきた植松さんらが中心となって設立したデベロッパーだ。
本作は、ミストウォーカーが手がける久しぶりの完全新作RPG。
坂口さんが自身の手掛けた名作『FFVI』をプレイするというネット配信をした際に、また古き良きRPGを作りたいと思ったのが開発のきっかけだそうだ。
本作は前後編に分かれて配信されたけれど、現在が1本のゲームしてプレイできる。前編はストーリーがどんどん展開していき、後編は自由度が高くなりゲーム性がやや変わる。
本作はApple Arcadeでプレイ可能。

本作の特徴や魅力、そして実際にプレイして感じた感想と各要素の評価をネタバレなしでレビュー。本作に似たゲームも紹介する。
画像はタップもしくはクリックすると拡大して見ることが出来ます。
あらすじStory
記憶喪失
どこかのロボット工場と思われる場所から物語は始まる。
そこに忍びこんでいるのが本作の主人公であるレオア。
レオアには何か目的があるみたいだけど、突然、工場がドカーン!
で、レオアの記憶もドカーン!記憶喪失スタートだ。

記憶に残っていたのは
爆発が起こったというわけで、工場の警備ロボットたちが出動。案の定レオアは見つかってしまい追いかけられるハメになる。
しかし、そこでワープマシンが発動して、レオアはエンという辺境の街に瞬間移動!
そんな都合のいい話があるか。いや、ある。
エンの街には、レオアの記憶に残る女性キーナが住んでいる。記憶喪失になってしまったレオアがなぜか思い出せた人物だ。
本作のワープマシンは使用者の記憶に反応して行き先が決まるらしく、キーナの記憶を頼りにワープマシンの行き先が決まったらしい。

謎の白玉団子
キーナはレオアにとってさぞや大事な女性だったのかと思いきや、レオアとキーナは顔見知り程度だったらしい。
でも、なんやかんやで運命に導かれ、レオアは、不思議な力を持つキーナと共に記憶を取り戻す旅に出ることに。
危険な旅になることは間違いない。
なぜなら、彼らが旅する世界はかなり崖っぷちだ。
世界は、謎の機械生命体を生み出す白い球体「死械球」に侵食されている。
ちなみに、この大小様々な白玉団子のような死戒球の製造元(元凶)は邪神ヴァムという奴らしい。

中二病悪役に狙われる
なるほど、じゃあ邪神ヴァムがラスボスか。長い旅路の末に出会うことになりそうだ。
と思いきや、レオアは早々にヴァムに目をつけられてしまう。そういう運命らしい。主人公ってのは大変だ。
ヴァムはよく分からないことをぶつぶつ言っているけれど、レオア一人で立ち向かうわけではない。
キーナ含め、レオアは旅の道中で様々な仲間たちと出会う。みんな何かしらの事情を抱えていて、レオアの運命と絡んでいく。
ヴァムの目的は悪役にありがちな世界征服が目的なのか?
そして、レオア自身は、一体どこで何をしていた人なのか、記憶は取り戻せるのか?
記憶喪失レオアは、次元を超えた大冒険に突入していく。

ゲームの特徴Features
王道なRPG

本作は、RPG。ワールドマップからダンジョンや街を選んで探索していく。
行ける場所は、メインストーリー進行と共に増えていく。サブクエストもある。
キャラごとにステータスや覚えるスキルは決まっていて、バトルで得る経験値によってレベルアップしていく。
ゲーム後半からはスキルツリーが登場し、ある程度自由に成長させることもできる。
探索

各地にある町やダンジョンを探索する際には、通常通りキャラを移動させることも可能だし、マップ画面上で赤いポイントを選択して自動的に移動させることも可能。
フィールドにはアイテムが落ちていたり、宝箱もたくさんある。
カメラは固定なので、隅々まで実際に歩かないと見えないアイテムもあり、これは自動で移動させていると見逃してしまうので注意。
また、宝箱は鍵がかかっているものも多くて、それぞれ対応した鍵を消費しないと開けられない。一体誰が鍵かけたんだか。
ディメンジョンバトル

バトルはランダムエンカウト。
しかし、本作にはディメンションバトルというシステムが搭載されている。
ランダムエンカウントなんだけど、エンカウントした敵は異空間に溜めておくことができる。
上限数までならエンカウントした敵を溜めておくことができて、好きな時に好きな場所で溜めていた敵と一気にバトルをすることができる。
しかし、上限数に達したり、まだ一度も倒したことがないモンスターと遭遇した時は、必ず強制的にバトルになる。
描くバトル

バトルは、ターン制コマンドバトル。
ただし、攻撃対象の選択は斬新なシステムになっている。
コマンドを選んだら、次はそのキャラの立ち位置からどういう軌道で発動するかを線を描いて指示する。
魔法などMPを消費するスキルや武器に貫通スキルが付いていると、指示した軌道上にいる敵全員に攻撃を当てることが出来る。
スキルによって、左右にカーブしたり上空に弧を描いて狙えたりなど描ける軌道も変わる。
また、上述したディメンションバトルでは、攻撃力アップや連続してもう一度行動できるマークがバトル画面上に落ちていて、そのマークを軌道に巻き込むと対応するバフが付与される。
たくさんの敵を溜めてバトルに入り、バフのマークを取りつつ、より多くの敵を巻き込む軌道を描くというのが、効率の良い本作ならではの戦い方だ。
各要素の評価と感想Rating
物語の面白さ

4.5
記憶喪失、死械化、仲間たちの事情、機械の世界、神機、気になることがどんどんどんどん登場してくる。
前編はストーリー展開がメインと説明されていた通り、メインストーリーがノンストップ。
仲間の性格や世界設定は、最初は一見すると「あー、よくあるやつ」と思った。
が、しかし、物語は徐々に意外な方向に進んでいき、もう目が離せない。
次から次にドラマチックな展開が畳み掛けてきて、ゲーム冒頭から一気に物語に惹き込まれてしまった。もう、夢中。物語のテンポや展開が絶妙すぎ。
キャラクターの魅力

4.0
仲間は、気の強い女の子や面白ロボット、強キャラ感醸し出してる奴とか「王道RPGの仲間といえば」というキャラばかり。
主人公が気になる女の子が2人、JRPG感ムンムンだ。
主人公や仲間の過去や記憶を見るイベントでは、背景イラストでテキストのみという演出になっている。
これが良い。
もちろん演出の派手さはない。でも、変に全てを映像で見せられるよりも想像力がかき立てられる。
綴られる言葉の選び方や表現が本当に良くて、文字だけでも感動して泣いてしまう。みんな境遇が壮絶。
『クロノトリガー』とか『FFVI』あたりに近い、各キャラの物語や視点も描かれる群像劇。いつの間にか全員のことが好きになってる。

操作性

4.0
スマホでもプレイしやすい操作法で、分かりやすくシンプル。
私はコントローラーでプレイしたけれど、それでも操作しやすい。
カメラが固定なので見えにくいところもあり、探索時にはもどかしくなる時もある。でも、物陰まで歩いて行くとグリィインとカメラが動いて見つかる宝箱も多く、探索する楽しさが味わえる。
ただ、そうしてカメラの方向が大きく変わった時にはスティック操作が反転してしまうことがあるので、曲がり角でのスムーズな移動がしにくいことも。
バトルでは軌道の微調整が肝心。ここを怠るとバトルが長引いてジリ貧だ。
軌道の本当に微妙なズレで攻撃できる敵が2体くらい増えたりする。繊細な軌道調整。コントローラー操作なら左スティックをチョチョイチョイとずつ動かす。タッチ操作なら指先で。
で、大量の敵を軌道上に巻き込めた時は気持ち良い。ここがバトルで1番面白いところ。
難易度バランス

3.5
バトルでは、軌道を使いこなし、敵の弱点をよく見て、更に敵を倒す順番もよく考えないと、ボス戦では苦戦することになる。
特にバトル中の仲間達のセリフはよく聞いておいた方がいい。
どのボスにも正解の倒し方がある。弱点を把握するのが大切。もちろん、ちゃんとレベル上げも必要。
ディメンションバトルでは、どのくらい敵を溜めてからバトルするかによって難しさは変わる。自分でバトルの大変さを調節できるってわけだ。
前半は物語を良いテンポで楽しめる良い難易度なんだけれど、後半からは猛烈にボスが強い。
しかも、キャラよりレベルが低い敵を倒しても経験値が得られない設定になっているのでレベル上げも難しい。
後半は自由度がグンッと上がるんだけど、前半のテンポの良さが後半では薄れてしまい、良い意味でも悪い意味でも変わってしまった。
ゲームシステム

4.5
ストーリーもバトルも面白い。キャラも魅力的。
RPGとして大切な部分がしっかり丁寧に作られてて、夢中にならないわけがない。
一番のお気に入りは、ディメンションバトル。「他のRPGでも採用して欲しい!」と思う面白いシステム。
攻撃軌道を描くバトルシステムも新しくて、これが面白すぎてハマる。
「ここ、ここ、ここらへん?」と軌道をジリジリと調整して大量の敵が巻き込める軌道が見つかった時の爽快感が最高。
バトルの難易度が高くなるのは面白さでもあるけれど、後半のバトル難易度の急騰によって「自由になったー!」と興奮する感覚が削がれてしまうのが残念。
やりこみ要素

3.5
前編はメインストーリーに集中と言っている通り、サブクエストはほんのオマケ程度にしかないし、成長要素もストーリーも一本道。
場面によってパーティーメンバーも固定されているので、どのキャラ使おうかという自由度もほぼない。道も一本道。
その分、自由度が高くなる後編に入った途端の解放感が半端ない。
行く場所も攻略順序もキャラの成長要素まで自由度がドカーンと突き抜ける。
ただ、同じダンジョンが行き来することが多いのは残念。
グラフィック

3.0
本作の大きな特徴の一つは、フィールドが実際に作られたジオラマになっているということ。キャラやアイテムなどは3DCG。
木や民家のベッドとかテーブルを見ると、リアルな質感がよく分かる。
だけど、3DCGとの境界がはっきりしすぎて、キャラが完全に浮いてる。
実際に作られたミニチュア作品を利用したゲームといえば、『Lumino City』。

もちろんゲーム性の違いもあるので単純に比べられるものではないけれど、正直なところ本作のアナログとデジタルの融合は荒め。3DCG部分も大味な印象を受けてしまう。
サウンド

4.0
音楽は、「さすが」のひと言。良い曲揃い。
FFシリーズを長年プレイしてきて、もちろん私はFF音楽も大好き。
植松さんの音楽でゲームをさせてもらってきた耳なので、新曲ばかりだけど、なんだか落ち着く。
\\サントラはこちら//

総合評価Summary
4.0
物語の魅力
ゲームプレイの快適さ
ゲームとしての面白さ
芸術性
良いところ
惹き込まれる物語
斬新なバトルシステム
魅力的なキャラ
残念なところ
前半と後半で難易度が変わりすぎ
カメラを自由に動かせない
オススメな人
RPGが好き
斬新なバトルシステムに興味がある
物語をしっかり楽しみたい
往年のFFシリーズのファン
オススメではない人
最初から自由度の高さが欲しい
派手な演出がないと満足できない
短時間でクリアできるゲームを探している
おすすめ類似ゲーム本作に似たゲームはコチラ
本作開発のきっかけになった名作RPG。もちろん坂口さんが手がけたFFであり、キャラ設定や群像劇など本作と似た要素も多い。ピクセルリマスターされ美しく蘇った。


さまざまな時代の仲間達が集まる名作RPG。古き良きJRPGが味わえる。RPG好きなら絶対オススメ。坂口さんをはじめとしたFFシリーズ開発陣とドラクエシリーズ開発陣がコラボした今も絶大な人気を誇るゲーム。


本作をプレイできるのはApple Arcadeのみ
FANTASIAN ファンタジアン
抜け出せないファンタジー
物語の展開やキャラの魅力に惹き込まれて、プレイする手が止まらなくなるRPG。
雑魚敵を溜めて一気に戦うディメンジョンバトルや攻撃の軌道を描くシステムが斬新で、バトルにも夢中になる。
前半と後半でかなりゲーム性が変わる驚きの仕掛けも魅力の一つ。
FANTASIAN ファンタジアン
https://www.mistwalkercorp.com/?lang=ja
©︎MISTWALKER